AGV搬送・出荷生産性の向上
1.PJ背景
自動化領域における「稼働後のパフォーマンス低下」の解消
基幹倉庫内のAGV(無人搬送車)導入エリアにおいて、繁忙期の物量増加に伴い、ピック生産性および搬送効率が著しく低下するという課題に直面していた。
竣工当初に策定されたレイアウトや制御ロジックは、メーカー側の「ベストプラクティス」として運用されていたが、実際の稼働データと現場の実態には乖離が生じ始めていた。特に、特定エリアでのAGVの滞留(渋滞)や、棚の取り合いによる待機時間の発生がボトルネックとなり、出荷スループットを阻害する要因となっていた。
2.ソリューション
アルゴリズムの深掘りと現場目線の融合によるボトルネック特定
既存のメーカー推奨設定に疑問を投げかけ、論理的なデータ分析と物理的な現場観察を掛け合わせることで、以下の最適化施策を講じた。
- AGV制御ロジックの解析とパラメータの再定義
ベンダー固有の搬送アルゴリズムと制御ロジックを詳細に紐解き、上位システムであるWMS(倉庫管理システム)からのデータ連携方式や、投入ボリュームの平準化ロジックを再設計した。機材の性能限界ではなく、データの渡し方やパラメータ設定に起因する非効率を特定し、最適値を再定義した。 - データと目視による「現場現物」のボトルネック調査
PC上のマップデータやログ解析に加え、安全に配慮した上で実際にエリア内を現場調査し、AGVの物理的な挙動を長時間観察した。これにより、デジタル上のデータだけでは見えにくい「高速路の本数不足」や「死角での渋滞発生メカニズム」を特定。当初は変更不要とされていた走行ルートおよびレイアウトの修正案を導き出した。 - WMS連携による在庫配置・入庫ロジックの高度化
搬送効率の低下が「在庫の偏り」にあることに着目。WMS側の入荷・入庫パラメータを調整し、特定エリアへの在庫集中を回避するロジックを実装した。ROBO棚の競合(取り合い)を抑制し、搬送の「質」と「量」を同時に高める在庫配置戦略を確立した。 - スループット最大化に向けたテストと検証のリード
導き出した改善示唆に基づき、ベンダーと協調して実機での検証を実施。段階的なパラメータ変更を通じて、繁忙期を想定した高負荷条件下での安定稼働を確認した。
3.プロジェクト成果
搬送リードタイムの短縮と出荷能力の劇的な改善
本プロジェクトの完遂により、以下の成果を創出した。
- 搬送時間中央値の30秒短縮と生産性向上
AGVの渋滞解消と走行ルートの最適化により、搬送時間の中央値を30秒短縮。これに伴い、ピック生産性は単位時間あたり30ユニット/h(UPH)上昇し、拠点全体の大幅なスループット増を実現した。
- 「既存資産の最大活用」による投資対効果の向上
新たな機材投資や大規模なベンダー側システム改修を行うことなく、ロジックと運用の変更のみで、既存AGVのパフォーマンスを極限まで引き出した。これにより、追加投資を抑制しつつ、将来の物量増に対応可能な拡張性を確保した。
- データと現場が融合した改善モデルの確立
システム上の数値と現場の物理的挙動をリンクさせた改善手法は、クライアント内での「自動化設備との向き合い方」の新たなスタンダード、「自動化設備を思い通りに使いこなす」として高く評価された。
クライアントからの声
Head of logistics S様
ジムウィー様には、倉庫における先端ロボティクスソリューションの定着化を力強くリードいただいています。AIツールの浸透に伴い、従来の「経験をサービス化する」コンサルティングだけでなく、専門家が少ない新領域でのファシリテーションや現場の巻き込み力がますます重要になっています。
ジムウィー様の卓越したキャッチアップ力と高いコミュニケーション能力により、現場を迅速に納得化させ、新しい技術や考え方を定着化するコンサルティング技術は大きな価値を発揮しています。
さらに、代表の立石様の真摯な姿勢がサービス全体に反映されており、新しい領域も安心してお任せできています。
※本プロジェクトを含め、複数のPJ・領域を跨いだ一連の支援に対し、クライアントよりいただいた評価。
※守秘義務および機密保持の観点から、掲載画像はプロジェクトのコンセプトを可視化したイメージであり、実際の現場写真ではございません。